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いわきのバー・スナック・クラブガイドいわきのバー・スナック・クラブガイド

Night Talk vol.001

「ボールペン」
夜の世界に身を置いて10年以上、まさかこのようなスペースを与えていただけるとは想像もしていなかったので恐縮するばかりですが、夜の話をしろ!とのことですので拙いとは思いますが、少々お付き合いを…。

僕が夜の仕事(バーテンダー)を始めたのは銀座のワインバーなのですが、銀座という場所に緊張する意識すらないほど無知な新人は、何の考えもなく¥100で購入したプラスチックのボールペンを使っていました。
それを見たとあるお客様がおもむろに鞄をゴソゴソ…。取り出した銀色の高そうなボールペンを僕に手渡しながらこうおっしゃいました。

「お店の雰囲気を壊すからこれ使いな。」

その言葉で我に返って見渡す店内ではプラスチックのボールペンと僕だけが確かに異質。

そこまで考えなくてはいけない。
そしてお客様はちゃんと見ている。と感じ意識が変わった瞬間でした。

それから未熟なりに精一杯考えながら仕事をする日々。
そのお客様は足繁くお店に顔を出してはアドバイスをくれ、モチベーションが下がってるなと感じた際には「前よりボールペン似合ってきてるよ。」と励ましてくれました。

意識が変わって1年後僕は店長になります。
余りにも早い抜擢にお客様・同僚・そして僕自身も戸惑い大変だったのですが、就任から半年が過ぎ気負いも抜け何となく自分のペースを掴んできたある日、そのお客様が来店し不思議な事を言い出したのです。

「ボールペン返して。」

僕にとって銀色のボールペンは宝物となっていましたが、信頼するお客様にそう言われてはしょうがありません。素直に、でも内心は渋々返すと、

「このボールペンは俺の使いかけだったし今のお前には似合わない、新品のボールペンをプレゼントさせてくれ。いい店長になったな…」

と笑顔で言いつつ、新品でピッカピカに光る銀色のボールペンを僕に手渡すのです。

泣きました。
号泣しました。
この仕事をやっていてよかったと心から思いましたし、こういう素敵なお客様に好かれる人間でありたいという男の指針みたいなものもその瞬間に見つかりました。

夜の世界、勿論楽しいことばかりではありませんが、このサイトをご覧になるお客様たちもお店のスタッフの人生に多大なる影響を与えている。
そして僕たちお店側もお客様の人生に影響を与える可能性があるのだということを最後の言葉として、乱文を〆させていただきます。
お付き合いありがとうございました。

そして皆様、素敵ないわきナイトをお過ごし下さいませ。
ワインバー Razzo(ラッツォ)
いわき市平二丁目20-2
旭翠第3ビル1F
tel.0246-24-0135
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坂本 慎
いわき市出身
38才
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